先生!労働基準監督署から呼び出しがきた・・・
労働基準監督署の調査とはなにか
うちの会社って『ブラック企業なの』??
~労働者から見ればこのインパクトは非常に大きいものです~
「こんにちは、労働基準監督署の○○です。社長はいらっしゃいますか?」と、突然訪問し、賃金台帳や出勤簿、従業員台帳、36協定・・・の提出を求められることがあります。こうして、何の予告もなく、やって来ることがあります(これを臨検といいます)。
労働基準監督署の調査の結果、法律違反が見つかれば是正勧告を受けます。その場合には違反事項と是正しなければならない期限が記載しており、その指定期日までに指摘事項を改善のうえ是正勧告書を提出する必要があります。是正勧告を受けたということは、法律違反の事実があったことの証拠となりますから、無視や虚偽の報告などをせずに誠実な対応が求められます。この是正勧告を無視したり、形だけ改善したと見せかける報告をした場合には、逮捕や書類送検されることもあります。是正勧告が発せられた場合においては、これまでの労務管理が労働基準法などの法令に違反していた、という事実を真摯に受け止め法令を遵守した(=コンプライアンス)経営を行うきっかけとしていくことが最も重要です。
また、特に今いる労働者からみれば、自分の勤めている会社が『ブラック企業』であることを認識することにもなります。この労働者の不信感こそ労基署調査が招く大きな傷といわれる所以でしょう。
「こんな指摘を受けたが、どうしたらいいか?」等、お困りの経営者様、どうぞお気軽にご相談ください!
労基署調査には種類がある ~4つの調査~
労働基準監督署の調査には、4種類あるといわれています。無論、本調査を拒否することは出来ません。
①申告監督(臨検)、②定期監督、③災害監督、④再監督に区分されます。
①申告監督(臨検)
在職者や退職者から残業代の未払いや有給休暇の行使制限、解雇予告手当の不払いなどについて、労働基準監督署に申告があった場合に、労基署が内容確認のため調査に立ち入るのです。 申告監督の多くは、労働者保護のため、「申告がありましたので、調査に来ました」とはもちろん明かさず、突然調査にやってくることもあります。
もちろん、②に述べる定期監督のように、事前に日程の連絡・調整を行って、来ることもあります。 私どもでは、申告内容、重大な違反の露見、申告者の希望内容如何で、突然調査か、事前連絡調査か変わってくると考えています。
労使紛争の増加や、労働基準監督署への申告件数の増加を考えると、現在は②定期監督よりも、この申告監督が多いように思われます。 我々も労働基準監督署に赴けば、労働者の方が相談ブースで相談をしていたり、労働基準監督官が電話で相談対応している様子がうかがえます。
②定期監督
行政サイドで毎年、対象業種、件数などを掲げ、任意に事業所を抽出し、その殆どは、事前に連絡調整をして調査が行われます。
③災害監督
一定規模以上の労働災害が発生してしまった場合、機械の設置は適正だったのかとか、安全管理体制は十分だったのかなど、現場に赴き、調査をします. 労働基準監督署は、災害の原因となった究明を行い、再発防止を促し、場合によって使用機械の停止命令等を出します。
④再監督
期日までに、報告書を提出しない場合や、事業所の対応が故意に悪質である、以前に報告書を提出しながらも、その是正状態がきちんと守られているのかなど調査します。
行政指導とは?
労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法などは、労働刑法という側面をもっています。したがって、罰則も定められ、懲役や罰金刑まで定められています。
しかし、一律に、【法律違反!即罰則適用!】となっては、たまりませんよね。そのため、労働基準監督官は違反があれば、相当悪質でない限りは、是正勧告書あるいは指導票という行政指導の文書を交付します。
●是正勧告書とは
労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法などに違反が見つかった場合などに、労働基準監督官がその違反状態の是正を促すものです。
●指導票とは
直ちに違法であるとはいえませんが、放置しておくと違法状態となる、あるいは改善する必要があると判断される場合に交付されるものです。
行政指導を受けたら・・・
いずれも、是正、改善の期日が定められ、会社が労働基準監督署に報告する必要があります。是正勧告書、指導票については、労働基準監督署長はもとより、一労働基準監督官についてまでも、その行政指導文書を交付することができる権限を与えているのです。
労働基準監督官は、刑事訴訟法に規定する「特別司法警察職員」といい、専門的な知識を有する警察官ということになります。
【是正勧告】及び【指導票】は、「法的拘束力のない行政指導」ということですから、これを読むと「じゃぁ、放っておいてもいいのでは?」と思われる社長もいらっしゃるかもしれません。
しかし、違法な状態に置かれていることには変わりありませんので、無視し続ければ書類送検が行われ検察により起訴され、最終的に「懲役や罰金」という処罰が待っているということも、事実として覚えておかねばなりません。
したがって、民事裁判や、労働審判、あっせんなどの場にまで出て行き解決を図ることよりも、この段階で手を打つということも視野に入れて検討する必要があります。
労基署指摘事項トップ10~チェックポイント
- 従業員に対して、労働契約締結時に、一定の労働条件を記載した書面を交付していないこと
- 会社で定めた所定労働時間が、法定労働時間(原則1週間40時間、1日8時間)の範囲内に収まっていないこと
- 時間外・休日に関する協定(いわゆる36協定)が締結・届出されていないのに、時間外労働、休日労働をさせていること
- 時間外労働、休日労働があるのに、割増賃金を支払っていないこと
- 休憩時間を適正に与えていないこと
- 管理監督者に対して、深夜業の割増賃金を支払っていないこと
- 常時雇用する労働者が、10人以上であるにも関わらず、就業規則を作成・届出していないこと
- 常時使用する労働者に対して、年に1回定期に健康診断を行っていないこと
- 常時50人以上の労働者を使用しているのに、衛生管理者を選任していないこと
- 常時50人以上の労働者を使用しているのに、産業医を選任していないこと
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